今一度解説を。自治体収受の確申の電子送信について。
確申の電子送信について、今一度解説します。
これまでは、
役所収受分 ⇒ 紙申告書として税務署に送付。
税務署 ⇒ KSKとして連係される。KSK2表の値は無し(但し申告システムに入っているので必要ない)。
上記以外の申告はe-TaxやKSKとして連携される。
これからは、
役所収受分 ⇒ e-Tax申告として税務署に送信。
税務署 ⇒ e-Taxデータとして連係(この際に税務LANのIDが埋め込まれるので識別されて、後方の処理を割愛します)。
上記以外の申告はe-TaxやKSKとして連携される(従来同様)。
税務LANが吐き出す電子申告用のデータは、XTXと中身は一緒のXMLとなっています。独自のCSVではありません。
これに納税者(利用者)識別IDを埋め込めば、そのまま送れなくも無い様なデータになっています。
(もちろん実施したことはありません。現時点でこのデータは暗号化されていません。今後はマイナンバー制度に合わせて適用されることでしょう。)
これを株式会社エヌ・ティ・ティ・データ謹製の「電子申告の達人」を利用して電子送信させています。
この機能は、現行バージョンにも実装されており、利用者は追加費用無く何時でも使用する事が出来ます。
但し、「電子申告の達人」の導入費、利用料は発生します。これは当社にではありません。
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ殿にお支払いです。
上記の機能は、マイナンバー対応版にも標準で実装されています。
現実はと言いますと、電子送信に税理士の資格が必要な為、市町村収受分を電子送信する為には、税理士の協力が必要となり、その派遣費用や手間が実態にそぐわない状況にあります。この事が導入に待ったを掛けていました。
H29.1からは、その箍が外れることになりますので、現実味を帯びてきます。
さて、残る問題は、利用料の負担をどうするのか?となりますね。
楽になるのは署の方なのに、市町村が費用を負担するの?そんな簡単な話ではございません。
電子送信には、一般インターネット回線はもってのほかなので、LGWANを利用します。当然の如く、回線利用料が発生します。
また、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ殿でも使用料の見直しを検討されています。
市区町村の言い分も判りますし、税務署の言い分も判ります。
by 千田
2015.6.18追記
この納税者本人の利用者識別IDの取得作業が繁雑で面倒です。
自治体側は送信者IDとして現税理士が持っている様な番号(代理人等の利用者識別ID)の取得が行われると思われます。
これとは別に、申告者を識別する為のIDの取得が必要となっています。既に持っている方の番号の管理も行わなければなりません。
マイナンバー制度が始まると、マイナンバーそのものが申告者本人を識別する番号になりますから、納税者本人の識別IDが不要になるのでは?と単純に考えています(結局そうはなりませんが)。システムの管理上マイナンバーでは無い識別IDが必要なんだよ!と言われてしまうとそれまでですが。なりすまし送信を避ける工夫もされているでしょうし。(紙申告でも同じですね)
何れ、ネットが繋がらない環境での申告受付が想定される以上、送信時の識別ID取得のプロセスが弊害になること必至と考えています。
by 千田
2015.7.31追記
ちなみにですね、申告者の識別IDを申告受付時では無く、本庁に戻ってから一括で処理することを想定すると(出来るかどうかは別として。実際には、申告者本人か税理士じゃ無いとこのIDを取得出来ない。)、1件の取得に30秒程度掛かりますから、200件の申告者分(地元の自治体では、平時400件程度の申告を受け付けています。その半分が確申だったとして)を処理するのに、2時間近く掛かってしまいます。識別IDの取得だけで。
それに個々の送信時間や達人側のエラーチェックフェーズの時間を加味すると、3時間は見て貰いたい。
あれ、残業が増えませんか?
by 千田